【この記事でわかること】
- すぐに使える面接記録・評価シートのテンプレート(Excel)
- AIを活用して面接記録の作成を自動化する具体的な3ステップ
- コピー&ペーストですぐに試せるChatGPT活用プロンプト集
面接記録にまつわる悩みとは?
日々の採用業務において、面接記録にまつわる課題を感じている人事担当者の方は少なくありません。多くの企業で挙げられる、よくある悩みを以下にまとめました。
面接記録の作成遅れが、候補者への連絡にも影響
面接が終わるとすぐに次の面接や会議が入り、記録をまとめるのは後回しに。気づけば記憶が曖昧になり、不完全な記録になってしまうこともあります。その結果、候補者への連絡が遅れ、選考全体の満足度が下がってしまうケースです。
面接官によって評価の視点や記録の粒度がバラバラ
評価基準が標準化されておらず、担当者個人の経験や勘に依存。結果として、記録される情報の質や量に差が生まれ、候補者を公平に評価することが難しくなっています。
面接記録が属人化し、次に活かせない
せっかく作成した記録が個人のローカル環境に留まり、チーム内で共有・蓄積されないケースは少なくありません。過去の選考データをナレッジとして再利用できず、次の採用活動に活かしきれない状況につながります。
記録作業に追われ、候補者と向き合う時間が取れない!
人事担当者として本来注力すべきなのは、候補者との対話や入社意欲を高めるためのコミュニケーションです。しかし、現実には記録作業に時間をとられ、より付加価値の高い活動に時間を割けていないという課題があります。
なぜ多忙でも面接記録の質が重要なのか?
面接記録は、単なる「面接の備忘録」ではありません。戦略的な採用活動において、極めて重要な役割を担っています。
評価の客観性を担保し、感覚的な採用を防ぐ
面接官の主観や印象だけで候補者を評価すると、「何となく良さそう」といった曖昧な理由で採用が進んでしまうリスクがあります。具体的な発言やエピソードを記録として残すことで、客観的な事実に基づいた評価が可能になり、採用の精度を高めます。
チーム全体で候補者理解を深め、選考の精度を上げる
一次面接官、二次面接官、最終面接官がそれぞれ質の高い記録を共有することで、候補者に対する多角的な理解が深まります。次の面接官は、過去の記録を踏まえたうえで、より深い質問を投げかけることができ、選考プロセス全体で一貫性のある評価が実現します。
候補者体験を向上させ、入社後のミスマッチを減らす
質の高い記録は候補者への丁寧なフィードバックや、内定後のフォロー面談にも活用できます。候補者一人ひとりに向き合っている姿勢が伝わることで、候補者体験が向上します。また、選考段階での深い理解は、入社後の「こんなはずではなかった」というミスマッチを未然に防ぐことにも繋がります。
面接記録がただの作業で終わる3つの課題
重要性を理解していても、なぜ面接記録は形骸化しがちなのでしょうか。そこには、多くの企業が陥る構造的な課題が存在します。
課題1:多忙すぎて「記録は後で…」が常態化する
最も一般的な課題です。目の前の業務に追われるあまり、記録作成の優先順位が下がってしまいます。記憶が新鮮なうちに記録する習慣が根付かず、結果的に不正確で表面的な情報しか残らないという悪循環に陥ります。
課題2:評価基準が曖昧で「何を書くべきか」わからない
自社が求める人物像や、ポジションごとに必須のスキル・コンピテンシーが明確に定義されていないケースです。評価の軸がなければ、面接官は「何を聞き、何を書くべきか」が分からず、記録の内容も当たり障りのないものになってしまいます。
課題3:共有の仕組みがなく「個人のメモ」で終わってしまう
記録のフォーマットや保存場所が統一されておらず、個人の裁量に任されている状態です。これでは、記録は「チームの資産」ではなく「個人のメモ」となり、組織としての採用ノウハウが蓄積されません。採用活動の属人化を助長する大きな要因です。
面接記録の質を高める基本テンプレート
AI活用に進む前に、まずは面接記録の型を整えることが重要です。ここでは、すぐに使える基本的なテンプレートと、運用上の注意点をご紹介します。
これだけは押さえたい!基本評価項目3つ
質の高い記録を作成するには、評価項目を事前に設計しておくことが重要です。特に以下の3項目は基本として設定しておきましょう。
- コンピテンシー評価: 成果を出す人材に共通する行動特性(例:課題解決能力・主体性・チームワークなど)
- スキル・経験評価: 業務遂行に必要な専門知識・技術や過去の実績
- カルチャーフィット評価: 企業の価値観や組織風土との相性
【無料DL】Excelですぐに使える面接記録・評価シート
上記の評価項目を盛り込んだ、汎用的な面接記録・評価シートのテンプレートをご用意しました。まずはこのテンプレートをベースに、自社に合わせてカスタマイズしてみてください。
(ここにテンプレートのダウンロードリンクや画像などを設置する想定)
個人情報の取り扱いとNG質問リスト面接記録には、個人情報保護法に配慮した取り扱いが求められます。記録の保管期間やアクセス権限のルールを明確に定めましょう。また、本籍地や思想・信条・支持政党など、応募者の適性・能力とは関係のない事項を質問・記録することは、就職差別につながる可能性があるため避けるべきです。
NG質問リスト:
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1se16RJEeTYKjX0hyAx_X-5nzafkUdSZIXm3BDL-PJHk/edit?gid=554350749#gid=554350749
《本題》AIで解決!面接記録を自動化する3ステップ
テンプレートで記録の型を整えても、「作成にかかる時間」という根本的な課題は残ります。そこで注目されているのが、AIによる面接記録の自動化です。導入の流れはシンプルで、特別な技術や知識がなくてもすぐに始められます。
ステップ1:【録音→文字起こし】面接内容をAIで一気にテキスト化する
まずは、オンライン面接の録画機能や、対面の場合はICレコーダー・スマートフォンアプリで面接を録音します。(※必ず事前に候補者の許諾を得てください)次に、その音声データをAI文字起こしツール(例: Whisper、 CLOVA Noteなど)に読み込ませます。すると、数十分の会話がわずか数分で高精度なテキストデータに変換され、手入力の手間はゼロになります。
ステップ2:【要約】長文の会話ログから、AIが要点を整理する
文字起こしされたテキストは、そのままでは冗長で読みにくい場合があります。そこで、ChatGPTのような生成AIにテキストを読み込ませ、「この面接の要点をまとめて」と指示します。AIは長大な会話ログの中から、重要な発言やエピソードを的確に抜き出し、簡潔な要約を作成してくれます。
ステップ3:【構造化】AIに評価項目を抽出・整理させる
最後に、AIに「評価項目に沿って情報を整理して」と指示します。事前に設定した評価項目(コンピテンシー・スキル・カルチャーフィットなど)をAIに伝えることで、会話ログの中から関連する発言を抽出し、項目ごとに分類・整理してくれます。これにより、構造化された質の高い面接記録が自動で完成します。
【コピペOK】ChatGPTですぐ試せる!面接記録“超”効率化プロンプト
「AIは難しそう」と感じる方もご安心ください。ここでは、コピー&ペーストですぐに使えるChatGPT用のプロンプト(指示文)を3つご紹介します。文字起こししたテキストを貼り付けるだけで、誰でも今日から実践できます。
プロンプト1:会話ログ全体を客観的に要約する
まずは、面接全体の概要を掴むためのプロンプトです。
# 命令書 あなたはプロの人事担当者です。以下の面接の会話ログを読み、客観的な事実に基づいて、面接全体の要点を500字程度でまとめてください。 # 面接ログ (ここに文字起こししたテキストを貼り付け)
プロンプト2:候補者の「強み・懸念点」を抽出する
評価の核心となる、候補者のポテンシャルとリスクを見極めるためのプロンプトです。
# 命令書 あなたは優秀な採用コンサルタントです。以下の面接ログに基づき、候補者の「強み」と「懸念点」を、それぞれ3つずつ具体的な発言を引用しながら抽出してください。 # 面接ログ (ここに文字起こししたテキストを貼り付け)
プロンプト3:評価項目に沿って情報を整理し、表形式で出力する
最終的な記録として残すための、最も実用的なプロンプトです。
弊社も、このプロンプトの活用により、面接記録の作成時間が平均で82%削減されました。
# 命令書 あなたは人事評価の専門家です。以下の面接ログと評価項目に基づき、候補者の発言内容を分析し、評価項目ごとに整理してマークダウンの表形式で出力してください。 # 評価項目 - 主体性 - 課題解決能力 - チームワーク - ポジション適合性 - カルチャーフィット
AI活用で変わる、人事担当者のこれから
AIの導入は、単なる業務効率化に留まらず、人事担当者の業務をより創造的で戦略的なものへとシフトさせる可能性を持っています。
候補者との対話に集中できる
AIが議事録作成を代行してくれることで、面接中にメモを取ることに気を取られる必要がなくなります。候補者の表情や声のトーンに集中し、より深い対話を通じて相手の本質を見抜くことができます。面接後も、すぐに候補者へのアトラクト(魅力づけ)やクロージングに時間を使えます。
自信を持って選考会議に臨める
AIが構造化した客観的な記録は、選考会議での強力な武器になります。「何となく良いと思った」ではなく、「この発言から、このような強みが確認できます」と、事実に基づいた議論を展開できるため、評価の説得力が格段に増します。
より戦略的な業務へシフトできる
AIによる記録の標準化・自動化は、採用チーム全体の業務品質を底上げします。日々のオペレーションから解放され、採用ブランディングの構築、新たな採用チャネルの開拓、タレントプールの設計といった、企業の未来を創る、より戦略的なミッションに挑戦できるようになるでしょう。
まとめ:面接記録の進化が、あなたの会社の採用力を変える
今回は、面接記録の作成・共有をAIで自動化し、採用活動の質を向上させるための具体的な手順とプロンプトを解説しました。
多くの企業がテンプレートの導入で足踏みしている中、一歩先んじてAIを活用することは、「作業」を減らし「戦略」に集中できる環境を手に入れることを意味します。それは、人事担当者個人の生産性を高めるだけでなく、チーム全体の採用力を強化し、ひいては会社の成長を加速させる大きな一歩となるはずです。
まずは今回ご紹介したプロンプトを、一度試してみてください。記録作成の効率と質が大きく変わることを実感いただけるはずです。