【この記事でわかること】
- コピペですぐに使える募集要項作成プロンプト4選
- AIが作成した文章をさらに魅力的にする「人間ならでは」の仕上げ方
応募が来ない募集要項のよくある3つの課題
効果的な募集要項を作成するためには、まず「なぜ応募が来ないのか」を客観的に把握することが重要です。多くの企業が見過ごしがちな、3つの典型的な課題を確認しましょう。
課題1. 業務内容が「作業リスト」になっている
求職者が知りたいのは、単なる作業内容の羅列ではありません。求職者の多くは「その仕事を通じてどのようなスキルが身につき、どんな価値を提供できるのか」というキャリアの展望を重視しています。
- NG例:「データ入力」「レポート作成」「会議の議事録作成」
- OK例:「マーケティング施策の効果測定データを分析し、次の戦略立案に繋がるインサイトを抽出します。経営層への月次レポートを通じて、事業の意思決定に直接貢献できます。」
このように、業務の目的や得られる経験を伝えることで、仕事の魅力が格段に向上します。
課題2. 求める人物像に具体性がない
「コミュニケーション能力が高い方」「主体性のある方」といった表現は、あまりに抽象的で、企業が本当に求めている人物像が伝わりません。求職者は、自分がその要件に合致するかどうかを判断できないのです。
- NG例:「リーダーシップを発揮できる方」
- OK例:「5名規模のプロジェクトチームを率い、週1回の進捗会議をファシリテートしながら、目標達成まで導いた経験をお持ちの方」
具体的な行動や実績に落とし込むことで、求職者は自身の経験と照らし合わせ、より応募への確信を深めることができます。
課題3. 働く魅力が書かれていない
給与や福利厚生はもちろん重要ですが、優秀な人材ほどそれ以外の「働く魅力」を重視する傾向にあります。
- 技術的な挑戦の機会
- 裁量権の大きさ
- チームの文化やメンバーの雰囲気
- キャリアパスの透明性
- 企業のミッションへの共感
これらの情報が欠けていると、求職者は「自分にとって本当に良い環境なのか」をイメージできず、応募をためらってしまいます。
応募が増える募集要項の「骨格」と必須項目
AIを活用する前に、まずは募集要項の基本構造と、法律上記載すべき項目を正確に理解しておくことが、ミスマッチを防ぎ、企業の信頼性を高める上で欠かせません。
募集要項の基本テンプレート
一般的な募集要項は、以下の項目で構成されています。基本内容を確実に網羅することで、求職者が必要とする情報を過不足なく提供できます。
- 募集職種名: 候補者が最初に目にする、最も重要な項目
- キャッチコピー:候補者の興味を引く、魅力的な一文
- 仕事内容:業務の目的ややりがいが伝わるように記述
- 応募資格:【必須スキル・経験】と【歓迎スキル・経験】に分けて記載
- 求める人物像:抽象的な言葉を避け、具体的な行動レベルで記述
- ポジションの魅力:チームの文化や成長機会など、独自の魅力を伝える
- 勤務条件: 勤務地・勤務時間・雇用形態・給与・休日/休暇など
- 福利厚生・諸手当:住宅手当や学習支援制度など
- 選考プロセス:応募から内定までの流れを明記
- 企業情報:会社のミッションや事業内容を簡潔に紹介
ミスマッチを防ぐ「必須スキル・歓迎スキル」の表現方法
応募資格を明確にすることは、採用の効率と質を大きく左右します。
必須スキル
このスキルがないと業務遂行が困難な、最低限の要件に絞り込みます。あまりにハードルを上げすぎると、優秀なポテンシャル層を逃す原因になります。
歓迎(Want)
スキル必須ではないが、持っていると早期に活躍できる、あるいは事業の将来に貢献できるスキルを記載します。これにより、多様なバックグラウンドを持つ求職者からの応募を促すことができます。
意外と見られている「労働条件」の注意点と法律知識
労働条件の記載は、職業安定法によって定められたルールを遵守する必要があります。給与額に著しい幅を持たせたり、試用期間中の条件を明記しなかったりすると、トラブルの原因となりかねません。
特に、業務内容や契約期間、就業場所などを明示することは企業の義務です。
厚生労働省のガイドラインなどを参考に、正確で透明性の高い情報開示を心がけることが、求職者からの信頼獲得に繋がります。
【本題】AI(ChatGPT)活用で煩雑な募集要項の作成を効率化
基本を押さえた上で、ChatGPTのような生成AIを活用すると、募集要項作成のプロセスは大幅に変化します。AIを活用することで得られるメリットを3つご紹介します。
メリット1. 作成時間を90%以上削減し、コア業務に集中できる
募集要項の文章を一から考える時間はもう必要ありません。箇条書きの情報をインプットするだけで、AIが数分で質の高い文章案を生成してくれます。 新たに捻出された時間で、候補者とのコミュニケーションや面接の質の向上、採用戦略の立案といった、より戦略的で人間的な業務に集中できます。
メリッ2. 属人化を防ぎ、誰でも一定の品質を担保できる
「あの人が書いた募集要項は応募が来るのに…」といった、採用担当者による質のバラつきは、多くの企業が抱える課題です。AIを使えば誰が担当しても、企業の魅力が伝わる一定レベル以上の募集要項を安定して作成できます。 これは、採用活動の標準化と効率化に大きく貢献します。
メリット3. 自社の「隠れた魅力」を言語化してくれる
社内にいると当たり前になってしまいがちな自社の強みも、AIは客観的な視点から「魅力」として言語化してくれます。例えば、「毎週の技術勉強会」という事実をインプットすれば、AIは「学習意欲の高いエンジニアが集い、互いに高め合える刺激的なカルチャー」といった、候補者に響く表現に変換してくれる可能性があります。
AIの活用に、専門的な知識は必ずしも必要ではありません。次の章で紹介する「プロンプト」と呼ばれる指示文をコピー&ペーストするだけで、誰でも簡単に活用し始めることができます。
【コピペOK】今日から使える!募集要項作成AIプロンプト4選
具体的にChatGPTを使って募集要項を作成する4つのステップを、そのまま使えるプロンプトとともにご紹介します。
Step1. AIに「優秀な採用担当者」になってもらう役割設定プロンプト
最初に、AIにどのような役割を演じてほしいかを明確に指示します。これにより、以降の回答の質が格段に向上します。
# 命令書 あなたは、BtoB SaaS企業に所属する、経験豊富な採用マーケター兼コピーライターです。 以下の制約条件とターゲット候補者の情報を基に、最高のパフォーマンスを発揮してください。 # 制約条件 - 候補者のインサイトを深く理解し、心に響く言葉を選んでください。 - 専門用語は避け、具体的で分かりやすい文章を作成してください。 - 企業のミッションやカルチャーが伝わるような、熱意のあるトーンで記述してください。 # ターゲット候補者 - 年齢:20代後半~30代前半 - 現職:Web業界での法人営業経験3年以上 - 志向:単なる物売りではなく、顧客の事業成長に貢献できる仕事がしたい。裁量権の大きい環境でスピーディーに成長したい。 上記を理解したら、「承知いたしました。募集要項作成の準備ができました。」とだけ返信してください。
Step2. 箇条書きの情報を「魅力的な文章」に磨き上げる文章化プロンプト
次に、募集要項に含めたい情報を箇条書きでAIに渡します。AIはこれを基に、魅力的な文章を生成します。
ありがとうございます。 先ほどの役割設定に基づき、以下の情報を基に「仕事内容」「ポジションの魅力」のセクションを作成してください。 # 募集ポジション - The Model型の営業組織におけるインサイドセールス # 業務内容(箇条書き) - MAツールで創出されたリードへの電話・メールでのアプローチ - 顧客課題のヒアリングと、商談機会の創出 - フィールドセールスへの情報連携 - 失注顧客へのナーチャリング # ポジションの魅力(箇条書き) - 部署立ち上げ期で、仕組みづくりから関与できる - 成果に応じたインセンティブ制度あり - 最新のSaaSツール(Salesforce, Marketo)を積極的に導入 - 経営層との距離が近く、フィードバックが早い # 出力形式 - 【仕事内容】と【このポジションの魅力】という見出しを付けてください。 - それぞれ300文字程度の文章で作成してください。
Step3. ターゲット候補者に響く「キャッチコピー」を量産する
アイデア出しプロンプト募集要項の冒頭におくキャッチコピーは、応募者の興味を惹く重要な要素です。AIは、複数のコピー案を瞬時に生成し、訴求力の高い表現を比較・検討する上で非常に有効です。
素晴らしい文章をありがとうございます。 次に、作成してくれた仕事内容と魅力を基に、ターゲット候補者の心に刺さるような、この募集要項のキャッチコピーを10個提案してください。 以下の観点を含めて、バリエーション豊かにお願いします。 - 成長意欲を刺激する観点 - 裁量権の大きさをアピールする観点 - キャリアパスを想起させる観点 - 顧客貢献を強調する観点
Step4. 候補者目線で「改善点」をフィードバックしてもらうレビュープロンプト
最後に、完成した募集要項の草案をAIにレビューさせます。候補者になりきってもらうことで、自分では気づきにくい改善点を発見できます。
ありがとうございます。 あなたは再びターゲット候補者になりきってください。 そして、これまで作成した募集要項のドラフトを読み、「もっとここが知りたい」「この表現は分かりにくい」といった点を、正直に3つフィードバックしてください。
AI作成の募集要項を人の手でブラッシュアップする方法
AIは非常に強力なアシスタントですが、完璧ではありません。最後に「人間ならでは」の視点を加えることで、募集要項は真に求職者の心を動かすものになります。
「現場社員のリアルな声」を加える
AIが生成したロジカルな文章に、現場で働く社員の生の声を加えることで、文章に「体温」が宿ります。
例えば、「この仕事の一番のやりがいは、お客様から『〇〇さんのおかげで業務が楽になったよ』と直接感謝された時です」といった具体的なエピソードは、AIには生成できない、強い共感性を持たすことができます。
自社独自の言葉に置き換える
AIは一般的で無難な言葉を選びがちです。
自社のバリューやミッション、社内で使われている独自の言葉(例えば「One Team」や「爆速PDCA」など)に置き換えることで、他社にはない、その企業ならではのカルチャーを伝えることができます。
誤解を招く表現がないかを最終確認する
AIは時に、事実と異なる情報を生成したり、誤解を招くような表現を使ったりする可能性があります。特に給与や労働条件、法的な要件に関しては、必ず人間の目で最終チェックを行い、情報の正確性を担保する責任があります。
AI利用における個人情報や機密情報の扱いに注意を払うことも、信頼される企業としての重要な責務です。
まとめ:AIを“賢いアシスタント”に、戦略的な採用へ
募集要項の作成は、もはや時間と労力を消耗するだけの作業ではありません。
AIという賢いアシスタントを上手に活用することで、誰でも速く質の高い募集要項を作成でき、応募の質と量を向上させることが可能です。これにより生まれた時間と心の余裕を、候補者一人ひとりと向き合う時間や、より本質的な採用戦略の策定に充てることができます。
本記事でご紹介したプロンプトを活用し、募集要項を作ることから戦略的な採用活動を始めてみてください。