【コピペで時短】オンボーディングとは?実施のポイントとAIで劇的に効率化するやり方を解説

この記事は約17分で読めます

多大なコストと時間をかけて採用した優秀な人材が、入社後数ヶ月で離職してしまう。「採用後のフォローが属人化し、担当者の負担ばかりが増えている」。このような課題は、多くの成長企業で人事担当者が直面する深刻な悩みです。この記事では、その解決策として、AIを活用したオンボーディングの抜本的な効率化を提案します。難解な知識は不要です。<u>ChatGPTなどを用いて、明日からすぐに実践できる具体的な施策と、コピー&ペーストで使えるプロンプト(指示文)</u>を多数ご紹介します。

【この記事でわかること】

POINT
  • AIを活用してオンボーディング業務を劇的に効率化する具体的な方法
  • プログラム設計や日々の業務で使える、コピペOKのChatGPTプロンプト集
  • 自社の課題に合わせたオンボーディング支援ツールの選び方

オンボーディングとは?目的とメリットを1分で理解

オンボーディングとは、新入社員が組織にスムーズに馴染み、早期に能力を発揮できるよう支援する一連のプロセスのことです。単なる「研修」や「オリエンテーション」とは異なり、一定期間にわたって継続的に行われます。

オンボーディングの目的は「早期戦力化」と「定着率向上」

オンボーディングの二大目的は、以下の通りです。

1. 早期戦力化

新入社員が業務に必要な知識やスキル、人間関係を迅速に構築し、一日でも早く組織の一員として活躍できる状態を目指します。

2. 定着率向上

企業文化やビジョンへの理解を深め、組織への帰属意識(エンゲージメント)を高めることで、早期離職を防ぎます。

投資対効果は絶大!成功させる3つのメリット

効果的なオンボーディングは、企業に大きなリターンをもたらします。

 1. 生産性の向上

新入社員が早期に自走できるため、教育担当者やチーム全体の負担が減り、組織全体の生産性が向上します。

2. 採用コストの最適化

定着率が向上することで、追加の採用コストや再教育にかかる費用を削減できます。

3. 従業員エンゲージメントの向上

「大切にされている」という実感は、新入社員だけでなく、受け入れに関わる既存社員のモチベーション向上にもつながります。

期間はどれくらい?中途採用なら「3ヶ月」が一つの目安

オンボーディングの期間に明確な決まりはありませんが、一般的に中途採用の場合は、入社後3ヶ月が一つの目安とされています。この期間で、業務の独り立ちと社内人脈の構築を目指すのが理想的です。

あなたの会社は大丈夫?オンボーディング“あるある”失敗パターン3選

良かれと思って実施している施策が、かえって新入社員の負担になっているケースは少なくありません。ここでは、多くの企業が陥りがちな典型的な失敗パターンを3つご紹介します。

1. 属人化のワナ 「あの人しか知らない」が新入社員を孤立させる

特定の人物(例:直属の上司や教育担当者)しか業務の進め方や社内ルールを把握していない状態です。担当者が不在の際に業務が完全に停止してしまったり、新入社員が「何度も同じような質問をしにくい」と感じて孤立を深めたりする原因となります。

2. 形骸化のワナ チェックリストを埋めるだけの“おもてなし”ごっこ

入社手続きやツールのアカウント発行など、タスクリストを消化すること自体が目的化してしまうパターンです。本来の目的である「組織への適応支援」という視点が欠けており、新入社員は「歓迎されているようで、実は放置されている」という印象を抱きがちです。

3. 情報過多のワナ 親切心がかえって混乱を招く

新入社員のためにと、大量の資料を一度に渡したり、初日から過密なスケジュールを組んだりするケースです。親切心からくる行動ですが、何が重要で、いつまでに何を理解すれば良いのかが分からず、かえって新入社員を混乱させ、疲弊させてしまいます。

AIでオンボーディング業務はここまで“楽”になる!

「オンボーディングの重要性は分かったけれど、人手が足りない…」。こうした課題を抱える人事担当者にとって、AIは強力な味方になります。

「AIは専門家が使うもので、難しそう」と感じるかもしれませんが、それは誤解です。特にChatGPTのような生成AIは、まるで優秀なアシスタントのように、こちらの意図を汲み取って業務を手伝ってくれます。 まずは、プログラムのアイデア出しや資料作成の“壁打ち相手”になってもらうことから始めてみましょう。

AIが得意なのは、情報の整理・要約・構造化、そして文章生成です。これらの作業をAIに任せることで、人事は「個別フォロー」や「組織文化の伝達」といった、人にしかできない付加価値の高い業務に集中できます。これが、これからの時代に求められる最適な役割分担といえるでしょう。

コピペOK!AIで作るオンボーディングプログラム設計 3ステップ

ここからは、ChatGPTを使ってオンボーディングプログラムを効率的に設計する具体的な方法を、コピー&ペーストで使えるプロンプト例と共に解説します。

ステップ1. プログラムの“骨子”をAIに作らせる

まずは、オンボーディングプログラムの全体像を設計します。以下のプロンプトをChatGPTに投げかけるだけで、たたき台が完成します。

目的とゴール設定のためのChatGPTプロンプト

# 指示
あなたは人事コンサルタントです。以下の条件に基づき、中途採用者向けの3ヶ月間のオンボーディングプログラムの骨子を提案してください。

# 条件
・会社名:株式会社〇〇
・事業内容:BtoB向けのSaaSプロダクト「△△」を開発・提供
・対象職種:フィールドセールス
・プログラムの目的:
    1. 入社3ヶ月後に単独で商談をクロージングできる状態になる
    2. 企業文化を理解し、他部署のメンバーとも円滑に連携できる
    3. 早期離職を防ぎ、エンゲージメントを高める

# 出力形式
・1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目のフェーズに分ける
・各フェーズでの目標と具体的なアクションプランを箇条書きで示す

ステップ2. 個人に合わせた“カスタマイズプラン”をAIと考える

次に、ステップ1で作成した骨子を基に、個々の新入社員の経歴やスキルに合わせてプランを最適化します。

職種別・役職別プラン作成のためのChatGPTプロンプト

# 指示
先ほど作成したオンボーディングプログラムの骨子を、以下の新入社員の情報に合わせてカスタマイズしてください。特に、1ヶ月目に重点的に実施すべきことを具体的に提案してください。

# 新入社員の情報
・氏名:山田 太郎
・役職:セールスマネージャー候補
・前職:異業種(Web広告代理店)での営業経験10年
・強み:顧客との関係構築、チームマネジメント
・課題:SaaS業界の知識、プロダクトの技術的な理解

# 出力形式
・山田さん向けの「1ヶ月目重点アクションプラン」を提案する
・特に強化すべき学習項目と、そのための具体的な方法(例:同席すべき会議、読むべき資料、会うべき人物など)をリストアップする

ステップ3. 必要な資料やQ&Aリストを“一瞬”で生成する

新入社員がつまずきやすいポイントを予測し、先回りしてFAQを作成しておくことで、現場の負担を大幅に軽減できます。

想定Q&Aリスト作成のためのChatGPTプロンプト

# 指示
当社のフィールドセールス職の新入社員が、業務開始後に抱きがちな疑問を10個予測し、それに対する簡潔な回答案を作成してください。親しみやすく、分かりやすい言葉でお願いします。

# 参考情報
・使用する主なツール:Salesforce, Slack, Google Workspace
・よくある質問の傾向:経費精算の方法、日報の書き方、競合製品との違い、技術的な質問の際のエスカレーション先など

# 出力形式
・Q&A形式でリストアップする

【効率化ハック】AIで日々のオンボーそれにディング業務を時短するアイデア集

プログラム設計だけでなく、日々の細かな業務もAIで効率化できます。すぐに試せる3つのアイデアをご紹介します。

1. 1on1面談の要約とネクストアクションの洗い出し

面談の議事録作成は手間がかかる作業です。音声認識ツールで文字起こししたテキストをAIに要約させれば、数分で完了します。

面談記録を貼り付けるだけ!要約プロンプト

# 指示
以下の1on1面談の記録を要約し、【ポジティブな点】【懸念点】【ネクストアクション】の3つの項目で整理してください。

# 面談記録
(ここに文字起こししたテキストを貼り付ける)

2. SlackやTeamsで動く「AI質問ボット」の基礎を作る

前述のFAQリストをさらに発展させ、社内チャットツールで使える質問ボットの応答データを作成します。

よくある質問と回答を学習させるプロンプト

# 指示
先に作成したQ&Aリストを基に、より多くの質問のバリエーションと、それに対する応答文を生成してください。新入社員が使いそうな、少しくだけた表現の質問も想定してください。

# 例
・質問バリエーション:「経費の申請ってどうやるんですか?」「交通費の精算方法を教えてください」
・応答文:「経費精算ですね!こちらの社内Wikiに手順がまとまっていますよ。[URL]」

3. 新入社員の“日報”から組織の課題を可視化する

複数人の日報をAIに読み込ませ、感情や傾向を分析させることで、個人が見せる小さなサインや組織全体の課題を早期に発見できます。

ポジ/ネガ分析でつまずきポイントを把握するプロンプト

# 指示
以下の複数名の日報テキストを分析し、共通して見られる「つまずきの兆候」や「ポジティブな反応」を抽出・要約してください。

# 日報テキスト
(ここに複数名分の日報テキストを貼り付ける)

AI活用を加速させる!オンボーディング支援ツール3選

AI単体での活用に加え、専門のツールを導入することで、オンボーディングはさらに高度化・効率化します。自社の課題に合わせて選ぶことが重要です。

1. コミュニケーション活性化型

社内のつながりを強化することに重点を置いたタイプです。新入社員が自己紹介や交流を通じて早く打ち解けられるように工夫されています。リモートワーク環境や大人数の組織に向いています。

【代表例】Slack(専用チャンネルの活用)、WelcomeHR など

2. タスク管理・進捗可視化型

オンボーディング期間中のタスクや面談スケジュールを一元管理できるタイプです。進捗状況を人事と現場で共有することで、抜け漏れを防ぎ、新入社員の育成状況を把握しやすくなります。複数部署が関わる場合に特に有効です。

【代表例】Asana、Trello、HiManager など

3. 学習コンテンツ提供型

職種別のスキルアップ動画やeラーニング教材を提供し、新入社員が自律的に学習できるタイプです。教育の標準化を進めたい企業や、学習進捗のばらつきを減らしたい場合に適しています。

【代表例】Udemy for Business、Schoo など

これらのツールを選ぶ際は、「何を解決したいのか」という目的を明確にすることが最も重要です。まずは無料トライアルなどを活用し、自社のカルチャーに合うか試してみることをお勧めします。

まとめ

オンボーディングの成功は、個人の成長だけでなく、企業の持続的な成長を支える重要な経営戦略です。そして、そのプロセスを支える上で、AIはもはや欠かせない存在となりつつあります。

AI活用と聞くと難しく考えてしまいがちですが、その本質は「面倒な作業を代わりにやってもらう」というシンプルなものです。今回ご紹介したプロンプトは、そのための具体的な第一歩です。

まずは今日の1on1面談の要約から、AIを活用してみてはいかがでしょうか。これからの業務におけるAIの可能性を実感できるはずです。

メールマガジン

AIの最新活用術を毎週お届け

人事担当者向けのAI活用術、実践的なプロンプト例、最新ツール情報などを、毎週木曜日にメールでお届けします。登録は無料です。

実践的なAI活用レシピ
コピペで使えるプロンプト
最新AIツール情報

無料会員登録

または

※フリーメールアドレス及び個人利用のアドレスでの登録は、ご遠慮いただいております。