【この記事でわかること】
- Webサイトや採用ページをAIで高速作成する具体的な手順
- 高度なデータ分析をAIに任せて業務を効率化する方法
- AIのアウトプットを最大限に活かし、自分らしい成果を出す「マイルール」
使用AIは「ChatGPT o3」と「Claude」
有薗:小松さん、本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。早速ですが、普段どのようなAIツールを使われていますか?
小松:ありがとうございます。普段は主にリサーチにChatGPT o3を、そして実装にはClaudeを使用しています。本当はGeminiも使いたかったのですが、まだ使い慣れていない部分もあります。
有薗:ChatGPT o3とClaude、この2つのツールを選ばれている理由を教えていただけますか?
小松:ChatGPT o3はディープリサーチに強く、とにかくアウトプットが速いのが魅力的です。待つのが嫌なので、これは大きな利点ですね。一方、Claudeは日本語の文章生成に優れており、特に「アーティファクト」という機能でソースコードを生成し、その場で実際のビューを確認できるのが非常に便利です。プロトタイプ作成にも適しています。
採用ページも数分で!Webサイト構築をAIに任せる実践フロー
有薗:Webサイト構築における具体的なAIの活用方法について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?採用ページ作成の事例など、人事担当者もイメージしやすいかと思います。
小松:はい、もちろんです。例えば、医療スタートアップの採用ページをFigmaライクに作成するケースを想定しましょう。
まず、ChatGPT o3でリサーチを行い、どのようなサイト構成が良いかを検討し、Notion AIで、ファーストビュー・アバウトなど、ページ構成をまとめます。次に、その構成に基づいてClaudeにHTMLとCSSのソースコードを生成させます。プロンプトはとても簡単で
「Figmaライクに、医療スタートアップの採用ページをHTML CSSで作って。(以降に調査した情報を貼り付け)」
Claudeの生成速度は非常に速く、驚くほどです。
ちなみに現在、Google Stitch AI(https://stitch.withgoogle.com/)というデザインツールも非常に便利です。このツールは、会話をするように指示を出すだけで、画面UIを自動で生成してくれます。さらに、生成されたUIはFigmaファイルやコードデータとして出力できるため、既存のワークフローにもスムーズに組み込めます。
元々は「Stitch」というサービスでしたが、Googleが買収し、さらに先日「Galileo AI」も買収して統合されました。これにより、より高度なUI生成とデザインプロセス全体の効率化が期待されています。
生成されたコードは「Code to Design」というfigmaのプラグインツールで貼り付けることで、瞬時にプロトタイプが完成します。さらに、このツールはモバイル表示への自動最適化(レスポンシブデザイン)も可能なため、非常に効率的です。
有薗:モバイル対応は通常、手間がかかるイメージですが、それが自動でできるのは画期的ですね!
小松:はい。最近では、デザインからWebサイト公開までをノーコードで実現できる「Figma Sites」サービスもあり、ウェブサイトを公開するまでの一連の流れがほぼ完結します。プロトタイプの叩き台やイベントのLP作成には、エンジニアがいなくても、作れます。装飾はデザイナーと協力し、エンジニアリングの実装はAIに任せられる部分は任せています。
Figma(フィグマ)とは…
ブラウザ上で動作する共同編集可能なデザインプラットフォームです。UIデザインやプロトタイピング、Webサイトやアプリのデザイン、さらにはプレゼンテーション資料の作成など、幅広い用途で利用されています。
人事担当者も必見!AIがデータ分析で課題解決をサポート
有薗:Webサイト構築以外にも、AIを活用されている事例はありますか?
小松:もちろんです。特に研究者という立場なので、ChatGPT o3を使ったデータ分析が欠かせません。T検定や回帰分析など、以前はExcelで一つずつ行っていた複雑な統計処理もワンコマンドで済み、シミュレーション設計やグラフ作成までAIが提案してくれます。
例えば、人事の方が社内アンケートやGoogle アナリティクスのログを取り込み、組織の状態や従業員意識を把握する際にも非常に有効です。ローカルで動かせば、機密データをクラウドに出さずに解析と可視化を完結できる点も重宝しています。
有薗:データ分析におけるAIとの対話術について、もう少し具体的に教えていただけますか?
小松:プロンプトというよりは、「自分たちしか得られない情報」と「誰でも得られるが調べるのが面倒な情報」という視点で考えます。まず、誰でも入手できる外部情報(例:競合他社の検索ワードやPV、滞在時間など)から自分たちの立ち位置を把握します。
例えば、「PVは低いが滞在時間が高い」という切り口が見つかったとします。その理由を探るために、次に
「どのようなアンケートを取ればいいか」をAIに相談します。
AIは、その結果を導き出すための具体的なアンケート内容を提案してくれます。これにより、仮説に基づいた定量・定性両面からの分析が可能になります。
「このデータを踏まえてどう分析したらいい?」とAIに問いかけます。
まるでAIとキャッチボールをするような対話を通じて、自身の思考の解像度を高めています。
失敗から学ぶ!AI活用の「マイルール」
有薗:AIを活用する上で、特に心がけている「マイルール」はありますか?
小松:はい、大きく2つあります。
1. AIの「ハルシネーション(嘘)」は必ず目視でチェックする
AIのアウトプットは、あくまで確率に基づいて生成されるため、誤った情報が含まれる可能性があります。特に研究においては、論文の引用元を必ず確認し、ファクトチェックを怠らないようにしています。私はNotebookLMのようなツールで長文の文献を要約したり聞いたりすることもありますが、最終的な確認は必ず自分の目で原文を見ています。
2. AIのアウトプットに「自分らしさ」を注入する
AIが生成するウェブサイトの構成や文章などは、統計的に「平均値」に基づいたものが多く、他の人も似たようなアウトプットを出している可能性があります。そのため、自分が何を「良い」と感じるか、どのような「基準」を持っているかを明確にし、AIのアウトプットをそれに近づける努力をすることが重要です。AIは強力なアシスタントですが、最終的な魅力や「思い」を乗せるのは人間の役割です。糸井重里さんが「AIには言葉の力がない」とおっしゃっていたように、最終的なアウトプットには必ず人間ならではの「思い」を乗せることを意識しています。
有薗:AIは強力なツールであると同時に、私たちの「仕事」そのものや、組織のあり方を変える可能性を秘めていることを改めて感じました。
採用担当者の方々も、AIがどの部分を代替し、どの部分に人間のスペシャリティが必要になるのかを見極めることが、これからの採用戦略において非常に重要になりそうですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました!