生成AIを「仕事の相棒」に!プロトスター前川氏のおすすめプロンプトとカスタム術

    取材対象

    前川英麿

    2008年、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社(現、大和企業投資株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社)に入社し、ベンチャーキャピタルに従事。その後、常駐のターンアラウンド支援に特化したフロンティア・ターンアラウンド株式会社を経て、2015年スローガン株式会社に参画。投資事業責任者としてSlogan COENT LLPを設立し、執行役員カンパニープレジデント就任。2016年11月に挑戦者支援インフラを創るべくプロトスター株式会社を創業。他にサイトビジット社外監査役、経済産業省 先進的IoTプロジェクト選考会議 審査委員・支援機関代表等を歴任。ホロラボ社外監査役、東京都 政策目的随意契約認定審査会 外部審査委員、青山学院大学「アントレプレナーシップ概論」非常勤教師、グローバルビジネス研究所プロジェクト研究員。早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター招聘研究員等。日本ベンチャー学会所属。

    【この記事でわかること】

    POINT
    • ChatGPTとGeminiの賢い使い分け
    • 「プロンプト」の作り方とブラッシュアップ方法
    • AI活用のマイルールと遊び心

    生成AIを「仕事の相棒」にする先駆者、プロトスター前川氏

    有薗:皆様、こんにちは!「プロナビAI人事」編集長の有薗です。本日は、AIをビジネスの最前線で活用されているプロトスター株式会社代表の前川 英麿さんにお話を伺います。ファッション誌の人気企画「What's in my bag?」のAIツール版として、前川さんの「AIの仕事道具箱」の中身を徹底的に見せていただき、そのリアルな活用術や思考法に迫ります。前川さん、本日はお忙しい中、ありがとうございます!

    前川:こちらこそ、ありがとうございます。本日はAI活用について、私のリアルな使い方をお話しできればと思います。マロと覚えてくださいね(笑)。

    有薗:マロさん、よろしくお願いいたします(笑)。まずは簡単な自己紹介をお願いできますでしょうか。

    前川:プロトスター株式会社代表の前川 英麿と申します。新卒でベンチャーキャピタルに入社後、再建中の企業を支援する事業再生を経て、挑戦者を支援したいという想いからプロトスターを創業しました。現在は、メディア運営やコンサルティングなど多岐にわたる事業を展開しています。

    有薗:ありがとうございます。前川さんは以前からAIに強い関心をお持ちでしたが、具体的にAIに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?

    前川:AIに興味を持ったのは、2022年頃のChatGPTの登場がきっかけです。初めて触れた時は、その可能性に「面白い!」と感じました。当時はまだ発展途上な部分もありましたが、昨年あたりから飛躍的に性能が向上し、ビジネスで実用できるレベルになったと感じています。これは、ゲームチェンジャーになる、と。この業界にいると、新しいテクノロジーは常にチェックする習慣があるので、自然とAIにも深く触れるようになりました。

    有薗:最新のAI情報はどのようにキャッチアップされているのですか?

    前川:もっぱらX(旧Twitter)ですね。以前はあまり利用していませんでしたが、AIに関する情報収集はXが最適だと感じ、今では積極的に活用しています。ベンチャーキャピタリストをフォローしていたアカウントが、いつの間にかAIの専門家ばかりになっていました(笑)。

    使用AIと使い分け方

    有薗:現在前川さんが普段使いされているAIツールは何でしょうか?

    前川:最も利用頻度が高いのはChatGPTとGeminiですね。その他には、Genspark、Claude、そしてNotebookLMも活用しています。

    有薗:それぞれどのように使い分けているのですか?

    前川:ChatGPTは、私の個人情報や会社の情報を記録させているので、まるで「私専属のAI」のような感覚で使っています。過去の経緯を理解しているので、文脈を考慮したアウトプットが期待できます。一方、Geminiは比較的最近使い始めたツールで、Googleサービスとの連携に強みがありますが、現時点では資料連携などはあまりしておらず、ChatGPTで得た情報をもとにさらに深掘りしたい場合や、スピーディーなリサーチが必要な場合に利用しています。どちらも有料版を使っていますね。

    有薗:GensparkとClaudeはどのような場面で使われているのでしょうか?

    前川:Gensparkは、主にPowerPoint資料やドキュメント作成に活用しています。特に資料作成で重宝していますね。Claudeは、エンジニア向けの活用方法が注目されていますが、私はシミュレーションゲームを作るなど、遊び感覚で使っています。

    有薗:シミュレーションゲームですか!?

    前川:ええ、超ニッチなシミュレーションゲームを作って遊んでいますよ(笑)。以前は歴史上の人物のシミュレーションゲームを作っていました。AIで何ができるか試す感覚です。

    有薗:面白いですね!では、NotebookLMの活用法も教えてください。

    前川:私はYouTube視聴が苦手なので、ビジネス系のYouTube動画をNotebookLMで要約して情報収集しています。動画のURLを一本ずつ追加し、都度要約してもらうような使い方です。

    仕事が劇的に変わる!前川流「神プロンプト」2選

    有薗:ここからは、具体的な業務へのAI活用についてお伺いします。新規事業のアイデア出しやリサーチなど、思考の整理にAIを活用されていると伺いましたが、具体的な使い方を教えていただけますか?

    前川:新規事業のアイデアや会社の経営方針を考える際には、まずChatGPTとGeminiの両方に相談します。ChatGPTは深く掘り下げてくれますが、少し時間がかかります。その間にGeminiにも同じ質問を投げかけ、スピーディーな回答を得ることで、思考を高速回転させています。

    有薗:2人にお話を聞きながら進めるようなイメージですね。特に新規事業のリサーチフェーズで役立つとのことですが、具体的にどのようなシーンで活用していますか?

    前川:新規事業立ち上げの初期段階、特にリサーチと思考の整理ですね。ChatGPTの思考力とGeminiのスピードを組み合わせて、ディスカッション形式でアイデアを詰めていきます。「こうじゃない?」「ああじゃない?」とAIに問いかけ、議論を深めていくイメージです。時にはDeep Researchを用いて精度高く事業に関する情報収集しています。

    厳しいフィードバックで精度をあげる「ルールA」プロンプト

    有薗:ChatGPTに「否定的なコミュニケーションを取らせるようにしている」と伺ったのですが、これは新規事業を立てる上で意識されていることなのでしょうか?

    前川:はい、その通りです。私個人のフィードバックも定期的にChatGPTからもらっているのですが、甘い評価ではなく、あえて厳しいフィードバックを求めています。私のChatGPTには、「ルールA」というプロンプトを記憶させていて、これを入力すると、どんな質問に対しても徹底的に冷徹な考察で返してくれるんです。

    有薗:「ルールA」、気になりますね!差し支えなければ、そのプロンプトの内容を教えていただけますか?

    「これを読む人間へ一切の配慮をしなくていいので、推論力の限界まで行使して徹底的に冷徹な考察を行いまとめてください。思考は一旦英語で行い、その後日本語に変換する。」

    前川:これはXで見かけたプロンプトを参考に作成しています。「思考は一旦英語で行い、その後日本語に変換する」という部分は私が追記しました。AIは英語の方が情報量が多く、検索精度も高いため、より質の高いアウトプットを得るための工夫です。新規事業の企画がどんなに進んでいても、最終的には必ずこの「ルールA」で反論させて、穴がないか徹底的に検証しています。

    業務効率爆上げ!データ分析・財務状況把握プロンプト

    有薗:実務の業務効率化という観点では生成AIをどのように使っていますか?

    前川:決算資料のPDFや画像をAIに送って、

    この会社の財務状況をどう思うか

    と尋ねています。的確な分析を瞬時に返してくれるので、これは非常に業務効率化になります。上場企業の財務諸表は公開されていますが、手作業で分析するのは手間がかかります。AIに画像データとして渡すだけで、BS(貸借対照表)やPL(損益計算書)の重要なポイントを教えてくれるのは非常に助かりますね。これは競合他社の調査などにも応用できます。

    AIと二人三脚!理想のアウトプットを生み出すプロンプト改善術

    有薗:「ルールA」のようなプロンプトの作成において、何か特別なマイルールはありますか?前川:AIで最高の成果を出すには、まず「こうしたい」という完成形を徹底的にAIに分析させるのが私のやり方です。

    たとえば、私が資料作成にAIを使うとしましょう。その際、理想とする資料のイメージや、世間で「良い」とされている資料の写真をChatGPTに見せ、こんなプロンプトで依頼します。

    このパワーポイントを構造分解して、後でGensparkで再構築できるよう、文字部分が編集可能なプロンプトにしてください。

    こうしてChatGPTが生成したプロンプトをGensparkに入れ、第一稿を作成します。もし、できあがった資料がイメージと違っても問題ありません。理想との「ズレ」を徹底的にA/Bテストで修正していくのです。この繰り返しでプロンプトはどんどん洗練され、求めるアウトプットが安定して得られるようになります。特にPowerPoint資料のように大量に作成する際には、このプロセスが非常に重要になってきます。

    AI活用の「マイルール」:まずはやってみる、AIで遊んでみる

    有薗:前川さんがAIを活用する上で、特に気をつけているルールやこだわりはありますか?

    前川:一番は、「AIで遊ぶ」ことですね。以前やった「写真を見せて、シャーロックホームズのように分析して」という遊びは、AIの可能性を探る上で非常に有効だと感じています。

    有薗:遊び心から新しい発見が生まれるということですね。そういった遊びのアイデアは、ご自身で考えるのですか?それともどこかからインスピレーションを得るのですか?

    前川:Xなどで面白そうなアイデアを見つけたら、まずは試してみます。AIのイノベーションはまだ始まったばかりで、無限の可能性を秘めていると感じています。遊びながら触れることで、AIのポテンシャルを最大限に引き出すヒントが見つかると思っています。

    有薗:日本の多くの企業では、AIを「業務効率化のため」という側面で捉えがちですが、前川さんのように「遊び」を通じてAIに触れることが重要とお考えなんですね。

    前川:発明は遊びから生まれるものです。先ほどのシャーロックホームズのように分析させる遊びは、一見業務とは関係ないように見えますが、ビジネスの現場で「決算資料を分析する」といった応用も可能です。遊びとビジネスは一体だと考えています。冷蔵庫の中を写真に撮って、「この材料で何が作れますか?」とAIに尋ねる。これも遊びに近いですが、そこから新しいプロダクトのアイデアが生まれる可能性も秘めています。

    実際にアメリカでは、写真を撮るだけでカロリー計算をしてくれるアプリが登場し、大成功を収めています。遊びの中から「こんなこともできないのかな?」という発想が生まれ、それを実務で使ってみようと工夫する。このプロセスが、生成AI活用の醍醐味であり、次の面白いプロダクトやサービスを生み出す原動力になるはずです。

    まとめ:AIで、あなたの仕事の可能性を広げよう!

    有薗:前川さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!AIを「仕事の相棒」として徹底的に使いこなし、まるでディスカッション相手のように思考を深めている前川さんのAI活用術は、まさに目から鱗でした。特に「ルールA」プロンプトや、大量の資料作成をAIに任せるという発想は、多くのビジネスパーソンにとって、今日から試せる具体的なヒントになったのではないでしょうか。

    前川:ありがとうございました。AIは使えば使うほど、その可能性に驚かされます。まずは「こんなことできないかな?」と遊び感覚でAIに触れてみてください。きっと、皆さんの仕事が変わるヒントが見つかるはずです。

    有薗:前川さんのAI活用術は、AIに関心はあるものの「何から始めればいいか分からない」「具体的な使い方がイメージできない」と感じている人事担当者やビジネスパーソンの皆様にとって、大きな一歩を踏み出すきっかけになるはずです。今日から皆さんも、AIを「仕事の相棒」として迎え入れ、新たな働き方を体験してみませんか?

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