1. 結論:Opus 5は「同じ値段で性能を大きく引き上げた」モデル

注記: 本記事の料金・仕様・数値は2026年7月時点でAnthropicが公式に発表している情報にもとづきます。AIモデルの仕様や価格は変更されやすいため、実際の導入判断の際は必ずAnthropic公式サイトで最新情報をご確認ください。
Claude Opus 5は、モデルIDを「claude-opus-5」として提供されている、Anthropicの最新モデルです。Claude.ai、コーディング支援のClaude Code、共同作業機能のClaude Cowork、そしてAPI経由の4つで利用でき、有料プランのMaxでは新しい既定モデルに、Proでは最上位の選択肢として位置づけられています。
価格は100万トークンあたり入力5ドル・出力25ドルで、これは前モデルのOpus 4.8と全く同じ水準です。つまり「値上げなしで性能を引き上げた」形になります。Anthropicが打ち出しているコアメッセージも、この点を端的に表しています。それが「Fable 5(現行の最上位モデル)級の性能を、半額で」というものです。実際、最上位モデルのFable 5は入力10ドル・出力25ドルであるのに対し、Opus 5は入力5ドル・出力25ドル。入力コストで比べるとちょうど半額、出力コストは同額という関係になります。
なお、研究プレビューとして「Fast mode」という約2.5倍速のモードも用意されていますが、こちらは入力10ドル・出力50ドルと通常の2倍の価格になります。速度を優先する場面での選択肢として覚えておくとよいでしょう。
2. 新しい調整ダイヤル「effort」とは何か

Opus 5を語るうえで欠かせないのが、「effort(エフォート)」という新しい概念です。これは、モデルにどれだけ思考量・計算量をかけるかを指定する5段階のダイヤルで、Anthropicの公式ドキュメントで定義されています。
段階は、低い順に low・medium・high(既定値)・xhigh・max の5つです。Opus 5はこの5段階すべてに対応していますが、旧世代のOpusモデルは対応する段階が少なく(例えばxhighまでなど)、世代による差があった点も押さえておく必要があります。
非エンジニアの方には、車のモード切り替えに例えるとわかりやすいかもしれません。「エコモード」と「スポーツモード」を状況に応じて切り替えるツマミが、Opus 5には新しく付いた、というイメージです。それぞれの段階の使い分けの目安は次のとおりです。
- low: 速度とコストを最優先したい、簡単な作業やサブエージェント(補助的に動かす小さなAI)向け
- medium: 速度・コスト・性能のバランスを取りたい場面
- high(既定値): 通常の複雑な推論やコーディングなど、普段づかいの標準設定
- xhigh: より高度な判断が必要な、長時間にわたるエージェント作業向け
- max: コストを度外視してでも最高の性能を引き出したいとき。最上位モデルであるFable 5の性能に迫るとされる
ここで一つ注意点があります。xhighとmaxの段階では、内部でじっくり考える「思考(thinking)」の機能を無効化できません。そのため、この2段階を使いつつ「回答は短く要点だけでよい」という場合は、effortの設定ではなくプロンプト側で「簡潔に」「要点のみ」のように明示的に指示する必要があります。
3. ベンチマークをどう読むか。「自社公表値」という前提を忘れない
Opus 5の発表では、いくつものベンチマーク(性能測定)の結果が示されています。ここで最も大事な前提を先に述べておきます。これらの数値はすべてAnthropic自身が発表した自社公表値であり、第三者による独立した検証は、本記事執筆時点では確認できていません。「公式発表=客観的な第三者評価」ではない、という点を踏まえたうえで参考にしてください。
その前提のうえで、公表されている主な結果は次のとおりです。
- Frontier-Bench v0.1: Opus 4.8の2倍を超えるスコアで、全モデル中トップとされる
- ARC-AGI 3: 次点のモデルの約3倍のスコアとされる(次点モデルの具体名は非開示のため、この比較自体も未確認情報)
- OSWorld 2.0: 最上位モデルFable 5の最良の結果を、コスト約3分の1で上回ったとされる
- CursorBench 3.2: effortをmaxにした場合、Fable 5のピーク性能との差はわずか0.5%で、コストは半分とされる
- Zapier AutomationBench: 合格率が次点モデルの約1.5倍とされる
こうして並べると華々しい結果に見えますが、共通しているのは「Anthropicの自社測定において」という条件です。ベンチマークは測定方法や問題セットの作り方によって結果が変わりやすく、発表元と評価元が同じ場合は特にその点を割り引いて見る必要があります。
なお、GPTやGeminiなど他社モデルとの比較についても触れておきます。信頼できる一次情報同士の直接比較ができていないため、本記事では数値による断定は避けます。一般には「コーディング分野ではAnthropicとOpenAIが競り合っている」「長い文脈の処理はGeminiが強いという評判がある」といった声も聞かれますが、これらはあくまで未確認の評判・観点として捉えるのが適切です。
4. 安全性は企業導入の安心材料になるか
Anthropicは、Opus 5の安全性についても数値を公表しています。「誤動作(misalignment)スコア」が2.3となっており、これは直近の自社モデルの中で最も低い、つまり最も好ましい数値だとしています。Anthropicいわく、Opus 5は最もアライメント(意図に沿った振る舞い)が取れており、最も騙されにくいモデルだということです。
企業でAIを導入する立場からすると、この「アライメントの高さ」「騙されにくさ」は一つの安心材料にはなり得ます。ただし、ここでも二つの留保が必要です。
一つ目は、この「2.3」という数値の満点の基準や具体的な測定方法は、公式の説明の範囲でしか分からず、外部監査による裏付けは確認できていない、という点です。ベンチマークと同様、自社評価であることを踏まえて受け止める必要があります。
二つ目は、唯一の例外として、サイバー攻撃に関する評価(セキュリティ上の脆弱性を悪用するコードを生成させるようなテスト)では、Opus 5は非公開版であるMythos 5に劣るとAnthropicが認めている点です。「あらゆる面で最も安全」というわけではなく、領域によって差があることは正直に押さえておくべきでしょう。
とはいえ総じて見れば、Opus 5は「安全性を重視した設計」を掲げるモデルであり、社内利用や顧客対応など、誤動作のリスクを避けたい場面での選択肢として、公式にはそう位置づけられています。
5. 比較表:Haiku・Sonnet・Opus 5・Fable・Mythosの違い

ここまでの情報を踏まえ、Claudeの主要モデルを一覧で整理します。価格は100万トークンあたりの入力/出力の目安です。
| モデル | 位置づけ | 料金(入力/出力・100万トークン) | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| Haiku 4.5 | 軽量・高速・最安 | 1ドル / 5ドル | 大量処理、サブエージェント、コスト最優先の定型作業 |
| Sonnet 5 | バランス型(日常利用の中心) | 2ドル / 10ドル(2026年8月末までの導入価格。以降は3ドル/15ドル) | 日常の生産性向上、通常のコーディング |
| Opus 5 | 高度推論・エージェント主力 | 5ドル / 25ドル | 複雑な推論、長時間のエージェント作業。effortで速度とコストを調整 |
| Fable 5 | 予算度外視の最上位(フロンティア級) | 10ドル / 25ドル | 妥協なく最高性能を求める場面 |
| Mythos 5 | 特殊用途(非公開・一般提供なし) | 非公開 | サイバー防衛研究など限定プログラム向け(Project Glasswing限定) |
Sonnet 5は2026年6月30日に発表されたモデルで、価格は導入期間の割引価格から段階的に上がる設計です。Opus 4.7・4.8はOpus 5と同額の入力5ドル・出力25ドルですが、Anthropicの発表によればOpus 5はFrontier-Bench v0.1でOpus 4.8の2倍を超えるスコアとされています。Fable 5については、2026年6月に輸出規制の影響で一時提供が停止し、6月30日に再展開、7月1日に完全復旧したという経緯があった点も文脈として触れておきます(この経緯はFable 5固有の話で、Opus 5本体の性能とは切り分けて捉えてください)。Mythos 5は、Fable 5と同等の性能を持ちながら安全策を緩和した非公開版で、一般提供はされていません。
6. 結局、いつどのモデルを使えばいいのか
比較表を踏まえた、実務での使い分けの目安は次のとおりです。
- コストを最優先したい、大量の処理をこなしたい: Haiku 4.5。要約や分類など、量をさばく作業に向く
- 日常の生産性向上や、普段のコーディング: Sonnet 5。多くの業務でまず検討すべき中位モデル
- 高度な推論や、エージェントを主力として使う場面: Opus 5。effortダイヤルを使い、simpleな作業はlow〜medium、通常の複雑な作業はhigh、本当に難しい長時間のエージェント作業はxhigh〜maxというように、同じモデルの中で速度とコストを調整できるのが特徴
- 予算を度外視してでも最高性能を求める場面: Fable 5
- 特殊なサイバー防衛研究など、一般提供の枠外の用途: Mythos 5(ただし一般の企業が使える選択肢ではない)
ポイントは、Opus 5が「effortという調整ダイヤル」を持ったことで、1つのモデルの中で速度・コスト・性能のバランスを状況ごとに変えられるようになった、という点です。これまでのように「安いモデルか、高いモデルか」でモデルそのものを切り替えるのではなく、Opus 5を主力に据えつつ、effortの段階で調整するという運用も選択肢に入ってきます。もちろん、大量の定型処理まですべてOpus 5でまかなうのはコスト面で非効率なので、Haiku 4.5やSonnet 5との使い分けは引き続き有効です。
まとめ
- Claude Opus 5は、価格をOpus 4.8と同額(入力5ドル/出力25ドル)に据え置きながら、Anthropicの複数のベンチマークで性能を大きく引き上げたと発表されたモデル
- 新しい「effort」ダイヤル(low〜max の5段階)により、1つのモデルの中で速度・コスト・性能のバランスを調整できるようになった。旧Opusは対応段階が少ない世代差もある
- ベンチマーク数値・安全性スコア(誤動作スコア2.3)は、いずれもAnthropicの自社公表値であり、第三者による独立検証は本記事執筆時点で確認できていない。ただしサイバー攻撃関連の評価ではMythos 5に劣るという例外もAnthropicは認めている
- 実務の使い分けは、コスト最優先ならHaiku 4.5、日常利用ならSonnet 5、高度推論・エージェント主力ならOpus 5(effortで調整)、予算度外視ならFable 5が目安
- 仕様・価格は変更され得るため、導入を検討する際は必ずAnthropic公式サイトで最新情報を確認すること
出典・参考
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Anthropic公式発表「Claude Opus 5」
https://www.anthropic.com/news/claude-opus-5
※モデルID、価格、提供プラン、Fast mode、ベンチマーク結果、安全性スコアの出典。 -
Anthropic公式ドキュメント「effort」
https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/effort
※effortダイヤルの5段階の定義、対応状況の世代差、xhigh/maxとthinkingの関係の出典。 -
Anthropic公式ページ「Pricing」
https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/pricing
※Haiku 4.5・Sonnet 5・Opus 4.7/4.8・Fable 5の価格情報の出典。

