1. 営業現場で生成AIの活用が広がっている理由
⚠️ 注記: 本記事で紹介する統計・料金は執筆時点(2026年8月)のものです。調査の対象範囲やAIツールの料金・仕様は変更される可能性があるため、最新情報は各公式サイト・一次情報でご確認ください。

PwC Japanが実施した「生成AIに関する実態調査2026春」(6カ国比較)によると、日本企業の生成AI導入率は87%と、前回調査から11ポイント上昇しています。「未着手・利用中止」と答えた企業は4%にとどまりました。この「導入率」には「業務で何らかの形で利用したことがある」といった定義が想定されますが、正確な定義・対象範囲は公表資料でご確認ください。調査における「導入」の定義次第で数値の幅が出得る点には注意が必要です。
実際、別の調査では異なる数値も紹介されています。ai-native.jpが紹介する調査(東京商工リサーチ系の調査として紹介されていますが、本記事執筆時点で原典を直接確認できていません)では、業務で生成AIを「活発に活用」している企業は4.4%、「やや活発に活用」が30.2%で、合計34.5%とされています。企業規模別では大企業46.5%、中小企業32.4%です。PwC Japanの調査とこの調査は、調査主体・実施時期・「活用」の定義がそれぞれ異なるため単純に比較はできません。どちらか一方の数値だけで自社の状況を判断せず、必ず各調査の定義・対象範囲を公表資料で確認したうえで参考にすることをおすすめします。
このどちらの調査にも、営業部門に限定した活用率のデータはありません。それでも、商談準備・提案書作成・フォロー連絡といった「文章を書く」「情報を整理する」業務は、多くの企業・多くの部門に共通する生成AIの使いどころです。営業という職種は特に、限られた時間の中で相手ごとに異なる文章を大量に書く必要がある仕事だけに、こうした流れと地続きにあると考えられます。
一方で、営業活動では顧客の氏名・連絡先・商談内容といった個人情報を扱う場面が非常に多いのも事実です。次の章では、生成AIを使い始める前に押さえておきたい注意点を解説します。
2. 使う前に知っておきたい注意点(個人情報の入力ルールとプラン選び)

営業でChatGPTのような生成AIを使う際、最初に押さえておきたいのが個人情報の扱いです。
個人情報保護委員会は2023年6月2日付で「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しています(公式・一次資料)。法律事務所などの解説によれば、その要点は、個人情報取扱事業者が生成AIサービスに個人情報を含むプロンプトを入力する場合、(1)その利用が特定された利用目的の達成に必要な範囲内であることを確認すること、(2)生成AIサービスを提供する事業者が、入力した個人データを機械学習に利用しないことなどを十分に確認すること、とされています。もし個人データが機械学習に転用された場合、個人情報保護法上の第三者提供規制に抵触し得るとされ、目的外での入力がどうしても必要な場合は仮名加工情報制度の活用も選択肢になるとされています(以上、牛島総合法律事務所の解説による整理。原文PDFは本記事執筆時点で自動テキスト抽出が難しく、要点は同解説で補っています)。この注意喚起は当時OpenAI社に対しても直接行われたことが公式ページに記載されています。本記事執筆時点で撤回・改訂は確認していませんが、最新の取り扱いは個人情報保護委員会の公式サイトでご確認ください。
営業の現場では、商談相手の氏名・連絡先・所属企業名・案件の金額条件といった個人情報や取引条件を、そのまま生成AIに貼り付けてしまいがちです。しかし上記の注意喚起を踏まえると、これは避けるべき運用です。実務では、次のようなルールを社内で共有しておくことをおすすめします。
- 商談相手の氏名・電話番号・メールアドレスなどは、プロンプトに入力する前に「A社ご担当者様」「〔担当者名〕」のように仮の記号に置き換える(例:「田中様との商談で、来月末までに導入判断をしたいとのお話」→「A社ご担当者様との商談で、来月末までに導入判断をしたいとのお話」のように書き換えてから貼り付けます)
- 具体的な契約金額・値引き条件・社内限りの取引条件など、個人情報以外の社外秘情報も、公開されている情報や一般化した表現に置き換えてから入力する(例:具体的な金額は書かず、「想定予算のレンジ内で」といった一般的な表現にとどめる)
- 生成AIに渡すのは「商談内容の要約」や「一般的な状況説明」までにとどめ、個人を特定できる情報はできる限り入力しない
- 契約しているAIツールが個人向けプランか法人向けプランかを確認する。複数の第三者解説によると、ChatGPTには個人向けのFree/Go/Plus/Pro、法人向けのBusiness/Enterpriseという構成があるとされています(プラン名・内容は変更されることがあるため執筆時点の情報です)。OpenAI公式ヘルプによると、Business/Enterpriseはワークスペースのデータをデフォルトでモデル学習に使用しないとされています(こちらは公式情報)
- 個人向けのFree/Plus/Proはデフォルトでモデル改善への利用がオンになっているとされ、利用者自身が設定画面(「データコントロール」等)からオプトアウトする必要があるという解説が複数あります(第三者解説。OpenAI公式仕様に基づく説明とされていますが、一次資料での再確認を推奨します)。ただしオプトアウトの適用範囲(設定完了後の入力のみに適用される可能性がある等)は変更されることがあるため、必ず利用中のツールの設定画面と公式ヘルプで確認してください
- 複数人で営業業務に使う場合は、法人向けプランの検討も選択肢になります。有料プランには複数の価格帯がありますが、料金・プラン内容は改定が多く、本記事執筆時点でOpenAI公式価格ページとの直接照合ができていないため、本記事では具体的な金額の記載は避けます。導入を検討する際は、必ず公式サイトで最新の料金をご確認ください
- AIが作った文章案は、あくまで「下書き」として扱い、個人情報を含む固有名詞や金額・条件などの事実関係は、送信・提出前に必ず人が実際のデータと突き合わせて確認する
これらは公式な注意喚起の条文そのものというより、個人情報保護委員会の注意喚起の趣旨を踏まえて、複数の実務系記事でも共通して推奨されている現実的な運用ルールです。次の章から紹介するプロンプトも、こうした前提(顧客の個人情報・社外秘の取引条件は入力しない、AIの出力は下書きとして扱う)のもとで使ってください。
3. 【コピペOK】営業で使えるプロンプト集

ここからは、そのままコピペして使えるプロンプトを紹介します。プロンプトとは、AIに「何をどう書いてほしいか」を伝える指示文のことです。〔 〕で囲んだ部分は、ご自身の状況に合わせて書き換えてください。商談相手の氏名・連絡先・具体的な契約金額などの個人情報・社外秘情報は入力せず、「A社ご担当者様」「〔金額レンジ〕」のような仮の表記に置き換えたうえで使うことを前提にしています。貼り付ける前に、次のように一手間かけて置き換えてください。
- 置換前:「田中様との商談で、予算800万円、来月末までに導入判断したいとのお話」
- 置換後:「A社ご担当者様との商談で、予算〔金額レンジ〕、来月末までに導入判断したいとのお話」
なお、以下の各プロンプトに添えた「出力イメージ」は、実際にAIを動かして得た実出力ではなく、〔 〕部分を例のように埋めて入力した場合に想定される出力の一例です。生成AIの出力は同じ入力でも毎回変わるため、実際に試すとここに書いた例とは異なる文章が返ってきます。
① 商談前リサーチの視点を整理する
商談相手の企業について、何を調べておくべきかの「下調べチェックリスト」を作るプロンプトです。AIは最新の企業情報そのものを正確に知っているとは限らないため、実際の情報収集は公式サイト・IR情報・ニュースなど信頼できる情報源で行うことが前提です。
これから〔業界名〕の企業に商談で訪問します。事前リサーチで確認しておくべき項目のチェックリストを作ってください。 訪問先の業種:〔業種〕 自社が提案しようとしている商品・サービス:〔商品・サービス名と概要〕 商談の目的:〔例:新規提案/既存顧客への追加提案/契約更新の相談 など〕 出力してほしいもの: ・確認しておくべき項目を「企業の基本情報」「業界動向」「想定される課題」「想定される質問・懸念」の4つに分けて箇条書きで ・各項目について、どこで調べれば分かりそうか(例:企業の公式サイト、IR情報、業界ニュースなど)の当たりも添える ・AI自身が知っている個別企業の最新情報は正確とは限らないため、実際の数値・事実は必ず公式情報源で確認するよう前提を明記してください
出力イメージ(想定例)(訪問先の業種を「地方の製造業」、提案しようとしている商品を「業務管理システム」として入力した場合に想定される出力イメージ)
企業の基本情報:事業内容・拠点数・従業員規模・直近の設備投資動向(公式サイト、決算公告等で確認)/業界動向:人手不足や原材料コスト上昇への対応状況(業界紙・ニュースで確認)/想定される課題:属人化した業務管理、若手への技能継承/想定される質問・懸念:導入コスト、既存システムとの連携可否、導入後のサポート体制
このように「何を、どこで調べるか」の当たりが整理されます。個別企業の具体的な数値や事実は、必ず公式情報源で裏取りしてから商談に臨んでください。
② 提案書のたたき台(構成案)を作る
提案書そのものを丸ごとAIに作らせるのではなく、まず「構成案・骨子」を作ってもらい、中身は自分で肉付けしていく使い方です。
以下の情報をもとに、提案書の構成案(章立てとそれぞれに書く内容の要点)を作成してください。 提案先の課題・ニーズ:〔わかっている範囲で〕 自社の商品・サービス:〔商品・サービス名と概要〕 提案のゴール(相手に何をしてほしいか):〔例:デモの実施合意、次回提案の日程確定 など〕 出力してほしいもの: ・提案書の章立て(例:現状課題の整理→解決の方向性→提案内容→導入イメージ→費用感→次のステップ、など) ・各章に書くべき要点を箇条書きで(具体的な文章は不要、骨子だけでよい) ・相手が納得しやすいように、課題→解決策の流れが一貫するよう構成してください ・具体的な金額・固有名詞はまだ分からない前提で、〔 〕のプレースホルダーのままにしてください
出力イメージ(想定例)(課題を「見積作成に時間がかかり過ぎている」、商品を「見積作成の効率化サービス」として入力した場合に想定される出力イメージ)
- 現状課題の整理:見積作成にかかっている工数・関係者間の確認往復の多さ/2. 解決の方向性:作成プロセスの標準化と確認フローの簡素化/3. 提案内容:〔サービス名〕による見積テンプレート化とレビュー工程の短縮/4. 導入イメージ:導入後の想定フロー図(別途作成)/5. 費用感:〔金額レンジ〕(別途ご相談)/6. 次のステップ:デモ実施の日程調整
骨子ができたら、各章の具体的な文章・数値・グラフなどは自分の手で肉付けしていくのが基本の使い方です。
③ 商談メモから「次にやること(Next Action)」だけを抽出する
商談メモの全文を議事録化するのではなく、フォローアップに必要な「やること」だけを素早く洗い出すためのプロンプトです。
以下は商談中に取ったメモです。このメモから、商談後にこちらが対応すべき「次にやること(Next Action)」だけを抽出してください。議事録の全文化は不要です。 商談メモ: 〔箇条書き・走り書きでよいのでメモをそのまま貼り付け。氏名・連絡先などが含まれる場合は「A社ご担当者様」等に置き換えてから貼り付ける〕 出力形式: ・「Next Action」を箇条書きで、担当者(自分/先方どちらか分かれば)と目安の期限も添える ・相手からの質問で回答が保留になっている点があれば「要回答」として別途リストアップする ・メモに書かれていない内容は推測で補わず、不明な点は「メモからは不明」としてください
出力イメージ(想定例)(メモを「価格については後日見積送付。他社比較中とのこと。導入時期は来期以降で検討したいとの話あり」として入力した場合に想定される出力イメージ)
Next Action:見積書を作成し送付する(自分/期限は次回連絡時までに)/要回答:他社との比較でどの点を重視しているか、次回確認する/導入時期は「来期以降」とのことだが具体的な時期はメモからは不明のため、次回商談で確認する
このように、メモに書かれている事実の範囲でNext Actionだけが整理されます。メモにない内容をAIが憶測で補っていないか、必ず見直してから使ってください。
④ 断られた後のフォローメールを作る
以下の状況で、商談相手にお送りするフォローメールの文面を作成してください。今回は見送り(お断り)の返事をいただいた後の連絡です。 これまでの経緯:〔わかっている範囲で簡潔に〕 お断りの理由(分かっている範囲):〔例:予算都合、時期尚早、他社に決定 など〕 今回のメールの目的:〔例:関係を維持し、将来的な再提案の機会を残したい/別サービスの案内をしたい など〕 条件: ・今回の判断を尊重する姿勢を示し、しつこく食い下がる印象にならないようにする ・お礼と、今後も情報提供などで関係を継続したい旨を伝える ・再提案の機会がある場合は、押しつけがましくない形で一言添える程度にとどめる ・断定できない事実(先方の内部事情など)には触れない
出力イメージ(想定例)(お断り理由を「今期予算の都合で見送り」として入力した場合に想定される出力イメージ)
このたびは前向きにご検討いただき、また率直にご事情をお聞かせいただき、ありがとうございました。今期のご予算の都合とのこと、承知いたしました。今回はご縁がありませんでしたが、今後もお役に立てそうな情報がありましたら改めてご案内させていただければ幸いです。状況が変わられた際は、いつでもお気軽にお声がけください。
このように、相手の判断を尊重しつつ関係を切らない文面の土台ができます。具体的な次回接触のタイミングなどは、自社の営業方針に合わせて書き足してください。
⑤ 見積の説明文を作る
見積書の数字そのものはAIには作れないため、すでに確定した金額・条件をもとに「なぜこの金額なのか」を分かりやすく伝える説明文を作るプロンプトです。
以下の見積内容について、お客様に送付するメールに添える説明文を作成してください。 見積の内容(確定済みの金額・条件):〔項目と金額を箇条書きで〕 見積のポイント(強調したい点):〔例:初期費用を抑えた構成にした、オプションはA/B/Cから選べる、など〕 条件: ・専門用語は使わず、一般のお客様にも分かる言葉で説明する ・金額の内訳が分かるように、何にいくらかかっているかを簡潔に説明する ・強調したいポイントを1〜2文で分かりやすく伝える ・記載していない金額・条件は憶測で補わないでください
このプロンプトは、見積の数字を勝手に作らせるものではなく、すでに確定した数字を「分かりやすい言葉に翻訳する」ための使い方です。金額・項目に誤りがないか、送付前に必ず見積書の原本と突き合わせて確認してください。
⑥ 営業リストの優先順位づけの基準を一緒に整理する
実際の顧客データをAIに丸ごと読み込ませてスコアリングさせるのではなく、「どういう基準で優先順位をつければよいか」を一緒に考えてもらう使い方です。個人情報を含む実際の顧客リストそのものは入力しないことが前提です。
営業リストの優先順位づけの基準を一緒に整理したいです。個別の顧客名・連絡先などは使わず、一般的な考え方として相談させてください。 自社の商品・サービス:〔商品・サービス名と概要〕 現在のリストの傾向(分かる範囲で):〔例:業種はバラバラ、企業規模も様々、接触歴の有無もまちまち、など〕 優先度を判断する上で重視したい観点:〔例:導入の緊急度、予算の有無、決裁権者との接点の有無 など〕 出力してほしいもの: ・優先順位づけに使えそうな評価軸の候補を、重視したい観点をもとに箇条書きで ・それぞれの評価軸を「高い/中くらい/低い」のようにざっくり判定するための目安の考え方 ・個別の企業名・個人名を扱わない、あくまで一般的な考え方の整理であることを前提にしてください
出力イメージ(想定例)(重視したい観点を「導入の緊急度」「決裁権者との接点の有無」として入力した場合に想定される出力イメージ)
評価軸の候補:①導入の緊急度(明確な課題・期限があるか)/②決裁権者との接点(すでに接点があるか、これから作る必要があるか)/③予算感の有無(概算でも予算感の話が出ているか)。目安:①〜③のうち2つ以上が「高い」に該当する先を優先度「高」とする、といった単純な足し上げから始めると運用しやすい
出てきた評価軸をもとに、実際のリストへの点数づけは自社の営業チームで行い、AIには「考え方の壁打ち相手」としての役割にとどめるのがおすすめです。
⑦ ロープレの壁打ち相手になってもらう
「ロープレ」とは、商談を想定した練習(ロールプレイング)のことです。
これから商談のロールプレイング練習をします。あなたは〔想定する相手の立場:例、慎重な情報システム部門の担当者〕として振る舞ってください。 商談の設定: 自社の商品・サービス:〔商品・サービス名と概要〕 相手企業の状況(想定):〔例:他社ツールを既に使っている、コスト削減が至上命題、など〕 練習したい場面:〔例:価格への懸念にどう答えるか、競合との違いをどう説明するか、など〕 進め方: ・まずはあなたから、その立場らしい質問や懸念を1つ投げかけてください ・私が回答したら、その回答への追加の質問や、もっと厳しい切り返しをしてください ・数回のやり取りのあと、私の回答の良かった点と改善点をフィードバックしてください
このプロンプトは、実在する商談相手を再現するものではなく、あくまで想定される質問・反論のパターンに慣れるための練習用です。フィードバックの内容は参考程度にとどめ、実際の商談の進め方は自社の営業方針・上長の助言と合わせて判断してください。
いずれのプロンプトも、まずはそのままコピペして試し、慣れてきたら自社のトーン・言い回しに合わせて〔 〕の部分を書き換えていくのがおすすめです。特に③⑥のように事実関係や判断が絡むものは、AIの出力をそのまま使わず、必ず人が最終確認したうえで使うようにしてください。
4. 明日から始めるための3つのアクション
個人情報を入力しないこと、AIの出力は人が最終確認することという2つの原則は、すでに2章・3章で触れたとおりです。ここでは重複を避け、それを踏まえたうえで「実際に何から始めればいいか」を3つのアクションに絞って紹介します。
① 社内で共有する「生成AI利用ルール」5行テンプレ
社内での使い方を統一するために、次のルールをそのままチャットツールや共有ドキュメントに貼り付けて使ってください。
- 商談相手の氏名・連絡先、および具体的な契約金額・社外秘の取引条件は、仮の記号・一般化した表現に置き換えてから入力する
- AIの出力は「下書き」として扱い、送信・提出前に必ず人が事実関係を確認する
- 使うAIツールは、法人向けプランを使うか、個人向けプランでも設定画面で学習利用をオフにする(設定のありかは2章を参照)
- 重要な判断(値引き幅・契約条件など)が絡む場合は、AIに相談する前後で必ず上長に確認する
- 気づいた誤り・使いにくかった点は、都度チームで共有する
② 始め方:小さく試して、記録する
いきなりすべての商談準備にAIを使う必要はありません。まずは次の順番で試してみてください。
- 比較的リスクの低い商談前リサーチ(本記事のプロンプト①)で1件試す
- 出力した下書きと、実際に使った資料・メールを上長・チームに見せて感想をもらう
- 2週間ほど使ってみて、「何件使ったか」「どのプロンプトが役に立ったか」を簡単に記録する
③ 効果の見方:時間とばらつきで判断する
効果を測る際は、「成約率が上がった」といった大きな成果を最初から狙うより、次の2つの分かりやすい指標から始めるのがおすすめです。
- 1件あたりの提案書・フォローメールの下書き作成にかかった時間(体感でよいので、使う前と後で比べる)
- 営業担当ごとの提案書の質・フォロー対応のばらつき(抜け漏れが減ったか、表現の水準が揃ってきたか)
営業部門に限定した生成AI活用の効果測定データは、本記事執筆時点でまだ十分には確認できていません。だからこそ、まずは自分たちの現場でこうした身近な指標から手応えを積み上げていくのが現実的です。
まとめ
ChatGPTのような生成AIチャットは、営業の「文章を書く」「情報を整理する」負担を軽くする下書き役として、負担軽減の一助になりえます。個人情報・社外秘の取引条件を入力しないという原則さえ守れば、商談前リサーチから提案書のたたき台、フォローメール、見積の説明文まで、幅広い場面でコピペしてすぐに使い始められます。
- 背景データ:日本企業の生成AI導入率は87%(PwC Japan「生成AIに関する実態調査2026春」)。ただし調査によって定義が異なり、別の調査では34.5%という数値も紹介されている(原典未確認、調査主体・時期・定義の違いに注意)
- 使う前の注意点とプラン選び:個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月公表)を踏まえ、商談相手の氏名・連絡先や具体的な契約金額・取引条件は仮の記号・一般化した表現に置き換えて入力する。あわせて、入力内容が学習に使われない設定になっているかを、利用中のツールの設定画面で確認する
- コピペで使えるプロンプト:商談前リサーチ、提案書の構成案、商談メモからのNext Action抽出、断られた後のフォローメール、見積の説明文、営業リストの優先順位づけ、ロープレの壁打ちまで7種類
- 明日から始めるアクション:5行の利用ルールを社内共有し、まずは商談前リサーチ1件から小さく試し、下書き時間や提案の質のばらつきで効果を確かめる
まずは、比較的リスクの低い商談前リサーチから、本記事のプロンプト①を試してみるところから始めてみてください。小さく試して手応えを確かめれば、日々の商談準備という営業活動の土台に、AIをどう組み込んでいくか、自社なりのやり方が見えてくるはずです。
出典・参考
- PwC Japan「生成AIに関する実態調査2026春」(6カ国比較)[https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2026.html](https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/generative-ai-survey2026.html 。1章の「日本企業の生成AI導入率87%(前回比+11ポイント)」「未着手・利用中止4%」の根拠です。
- ai-native.jp「日本のAI活用ギャップ(東京商工リサーチ系調査の紹介)」[https://www.ai-native.jp/blog/japan-ai-adoption-gap-2026-tsr-survey](https://www.ai-native.jp/blog/japan-ai-adoption-gap-2026-tsr-survey 。1章で紹介した「活発に活用4.4%+やや活発に活用30.2%=34.5%」「大企業46.5%/中小企業32.4%」の根拠です。同記事では東京商工リサーチ系の調査として紹介されていますが、本記事執筆時点で原典の一次資料は直接確認できておらず、数値の引用は同記事の紹介内容に基づいています。
- OpenAI Help Center「ChatGPT Businessにおけるデータ管理、共有、プライバシー」[https://help.openai.com/ja-jp/articles/8798634-chatgpt-business-%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%85%B1%E6%9C%89%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%BC](https://help.openai.com/ja-jp/articles/8798634-chatgpt-business-%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%85%B1%E6%9C%89%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%BC 。2章で紹介した「Business/Enterpriseはデフォルトでモデル学習に使用しない」の根拠です(公式)。
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」(2023年6月2日公表)[https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/](https://www.ppc.go.jp/news/careful_information/230602_AI_utilize_alert/ (PDF: [https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf](https://www.ppc.go.jp/files/pdf/230602_alert_generative_AI_service.pdf )。2章の「公表日」「当時OpenAI社への直接注意喚起」の根拠です(公式一次資料)。同PDFは自動テキスト抽出が難しかったため、注意喚起の要点(利用目的の範囲内確認、機械学習への転用確認、第三者提供規制、仮名加工情報制度)は下記の牛島総合法律事務所の解説に基づく整理です。

